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宮大工が語る社寺建築の価格の決め手「木材」の知識

宮大工が語る社寺建築の価格の決め手「木材」の知識

神社やお寺の建物を建てるときに、「普通の家を建てるよりは価格が高いことは分かるが、どれぐらいになるのだろうか?」と、誰しも思われたことがあるでしょう。

このコラムでは、どのような材木を選ぶと価格が高くなるのか、材木の適材適所など、宮大工の立場から、社寺建築の価格が大きく左右する「材木」についての知識を述べたいと思います。

材木の種類

社寺建築に使われる国内産の木材には、主にケヤキ・ヒノキ・杉・松・ヒバ・栗などがあります。また、供給量が多いため、比較的安価で、かつ一棟分の分量が揃えやすい外国産のものも多く使われています。

外国産の木材で最も多く使われているのがカナダ産の米ヒバ・アメリカ産の米松などです。

30~40年ほど前には、国内産のヒノキが不足してきたため、一時期は台湾ヒノキが良く使われていました。節がなく目も細かく、とても良い材料だったのですが、日本で大量に使われるようになった結果、価格が高騰し、乱伐のため台湾からの輸入が禁止されてしまいました。他にも一時期はラオスヒノキが良く使われていましたが、同様の理由で市場から消えてしまいました。最近では南洋材も使われるようになっています。もともとは国内産の木材よりも供給量が多く比較的安価な外国産のものが盛んに使われていたのですが、近年では国内産木材の品質が見直され、再び流通するようになってきました。

このような市場の変遷は繰り返し起きていて、最近の傾向では国内産の木材が比較的安価に入手できています。

このように、材木の種類として様々あり、国内産だけでなく海外からの輸入によって、日本の社寺が建てられています。

節の有無

木造建築で材料を選ぶ時には、まず節があるか無いかに注目します。節が少ない木材は高級品として扱われます。

なかでも最高級品は、まったく節の無い「無節」です。

次に高級なのは、小さな節が2~3個ある程度の「上小節」です。

継いで比較的良いとされるのは、小さな節が散見される「小節」です。

それ以上節があるものは、「特一等材」または「一等材」と呼ばれ、段違いに安くなります。ただし、実際は節だらけで化粧材には向きません。節の多い材木は、野物材として小屋裏や床下などの見えない場所に使用します。

節がある木材
節がある木材

節のない木材
節のない木材

芯持ち・芯去り

木を輪切りにした時に中心にある「芯」の部分が木材に入っているものが「芯持ち」です。芯を避けて切り出したものが「芯去り」で、芯を避けるので希少部位と言える高級品です。

それぞれに以下の長短があります。

木目の美しさ ・・・芯持ち < 芯去り
強度 ・・・芯持ち > 芯去り

ただし、どちらが良いということではなく、両者の長所を生かし、それぞれ異なった用い方をします。

芯去りは美しい木目を生かして室内の敷居、鴨井、長押などの造作材として使用します。

芯持ちは、その強度を生かして、負荷がかかる柱、梁などの構造材として使用します。

芯持ちの木材
芯持ちの木材

材木の大きさ・長さ

「大きさ」は、木材の価格を決める大きな要素のひとつです。実は、木材に限っては、材積が大きくなれば大きくなるほど割高になります。単価自体が高くなるのです。

たとえば、10cm角の単価が1万円/m3 の材木があるとします。

これが、20cm角になると、単価が1万5千円/m3になったりするのです。つまり、単位体積当たりの単価が大きいものほど高くなります。

さらに大口径になると、単価はさらに跳ね上がります。

木材は大きいものほど希少である上、伐り出したり、運搬にかかる経費が大きくなり、それが単価に反映されるわけです。

ですから、社寺建築では建物の規模が大きくなるほど使用する部材の単価も高くなります。

長さについても同様です。一般的な既製品の規格である一間物 (1.8m) または、二間物 (3.6m) であれば安価ですが、それ以上の長さの木材は「規格外」となり、長くなるほど高価になります。山中で伐採された原木のほとんど二間の長さで伐り揃えられますし。倉庫も運搬用のトラックも、昔から二間物に合わせて作られているからです。日本家屋は「一間」単位で造られているほど定着しているのです。ちなみに畳の長さも一枚一間です。

材木の断面形状

社寺建築で使う木材の断面を見ると、長方形、正方形、八角形 (丸柱を含む) のどれかの形状になっています。

実は、この材木の断面形状が価格にも影響しているのです。もともと丸い原木を伐り出す際に、端材が最も出ないのが八角形で、最も多く出るのは長方形です。そのため、長方形の部材が最も高価で、八角形の部材が最も安価です。ちなみに一辺が30cm以上の幅広い板材になると、長方形の中でも最も高価な部材になります。

尚、丸柱は円形ですが、原木そのままの姿ではありません。部材として使用するには真円でなければなりませんし、原木のままでは「白太」という腐りやすい部位を含んでいるため耐久性に劣り、木材としては敬遠されるのです。良い丸柱は八角形の木材を大工が削って丸く加工して造られる部材なのです。

丸柱の加工
丸柱の加工

適材適所

千年の風雪に耐える社寺建築を建てるためには、「どこに」「何の用途に使うか」を考慮して木材の種類と形状を選ぶことが大事です。

「野物材」と「化粧材」

まず、木材は「野物材」と「化粧材」に大きく分けられます。野物材は節があって安い木材です。化粧材は節が少なく綺麗で高価な木材です。

小屋裏や床下などの目に見えないところは、強度があれば節が多くても差し支えないので、値段の安い野物材を使います。そして、柱、長押、桁などの目に触れるところには、節が少なく綺麗な化粧材を使います。

木の種類

また、木材は、木の種類によって、それぞれ性質が異なります。たとえば、ヒノキやヒバは水に強く、反対に杉や米松は水にあまり強くありません。建物の一番下に使う「土台」には常に雨がかかり、湿気がたまりやすいため、水気に強い材種を使わなければなりませんから、杉は不向きです。土台に向いているのはヒノキやヒバです。ケヤキや栗はなお良しなのですが値段が上がります。

「柱」は垂直に立ち、建物の重量を支える部材なので、基本的には強度に優れた芯持材を使います。

良い宮大工は、このような様々な条件を踏まえた上で、各部材ごとにどんな材種・形状が相応しいかを知り抜いていて最適な提案が出来ます。

社寺建築の坪単価は?

施主様が「今回は予算が無いのですべて杉で良い」と考えたとしても、「この場所にはヒノキはいいけれど杉は不向きである」というふうに、材木は適材適所に使用することが大事です。単に「安いから」「予算が無いから」だけでは決められないこともあるのです。なぜなら、適材適所を考慮せず金額だけで木材を選ぶと、建物の寿命が縮むことになるからです。極論を言えば、「総額1000万円のところ、安い木材を使って800万円でできた」としても、木材の使い方を間違えたことで、建物の寿命が半分になってしまうなら、結果的には高い買い物だった、と言わざるを得ません。

このように、木材だけでも、様々な条件によって値段は大きく変わってきます。さらには、木材の種類によって大工の工賃も変わってきます。硬い木材であれば加工に手間がかかります。また、小さな木材であれば、大工一人で持ち運びできるが、大きな木材になるとフォークリフトやクレーンが必要になり、当然ながら、経費もかさみます。そのため、社寺建築では「坪○○○万円です」と簡単には言えないのです。

よくお勧めする木

予算を抑えつつ、建物の耐久性を考慮し、見栄えが良い綺麗な木材を希望される場合に、当社でよくお勧めしている方法は『柱はヒノキ、その他の化粧材を米ヒバ』というものです。もちろん、施主様が想定しているご予算に合わせて部材の種類や程度を調整することが多いので、建物の大きさや屋根の形など、大まかで結構ですので、希望する建物のプランをある程度まとめていただき、一度ご相談ください。

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