創業50年神社仏閣設計施工 織戸社寺工務所日本の美と匠の技を未来に傳える

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工事計画を立てるための三つのステップ

前回のコラム「複数の業者に見積依頼をする場合のポイント」では、最後に、複数の業者に見積依頼をするために工事計画が大切であることを述べました。また、工事計画を立てるための三つのステップについて述べました。

〈ステップ1〉

修理なのか、新築なのかを明確にする。

〈ステップ2〉

既存の建物がある場合、その建物を基準にして、どのようにしたいのか決める。(建坪を大きくする、小さくする。/ 装飾などを豪華にする、簡略化する など)

〈ステップ3〉

業者への伝え忘れを防ぐため、普段の使い勝手のことや、独自の歴史的事情など、細かい希望でも紙に書き出して整理しておく。

施主様の考えや要望を明確にする意味でも、以上の三つのステップをまとめておくのは大切なことです。そして、それらを最初の基準として、業者に提示し、見積を依頼するとよいでしょう。

今回のコラムでは、この三つのステップを補足しながら、このステップの知識を深めて頂けたらと思います。

施主様のご要望が業者選びの判断材料になる

社寺建築では基本的に昔ながらのルールや決まりごとを大切にするものです。そのため、施主様としては、「こんなアイデアは社寺建築としてはおかしいかな」と不安になり、安易に意見を言ってよいのか躊躇してしまう事もあるかと思います。

しかし、施主様のご要望が社寺建築のルールに合わなかったとしても結構です。その場合、良い宮大工なら、施主様の考えが実現するような改善案を提示するものです。

複数の業者に見積依頼をした中で、そのような改善案を提示する業者とそうでない業者がいれば、これもまた業者選びでの判断材料になります。

そしてもし、社寺建築のルールと施主様のご要望に相違があり、施主様としてどちらが正しいか判断ができないときには、社寺建築の専門書を取り出して、「この書籍で言えばどういう部分ですか?」と業者に尋ね、説明してもらいましょう。施主様が納得できるような、分かりやすい、誠実な回答が得られるならば、その業者は心配ないと思います。

また、別の方法として、業者を決める入札の前に、まずは社寺専門の設計士に相談するのも良いと思います。

設計士に設計を依頼しするメリット

最近では、社寺建築を建てるプロである宮大工のほかに、社寺建築の設計を専門とする設計士も増えています。

設計士に設計を依頼し、施主様の要望を図面にしてもらって、それを基準として、複数の業者に見積を依頼すれば、見積金額の比較が適切なものとなるでしょう。

ちなみに、設計士に設計を依頼すると、建築工事費の5~8%程度の設計費が別途発生します。設計費の割合は、設計士によってさまざまな設定がありますので、設計依頼をする前に確認してください。場合によっては、施工業者を決める、前に設計士を決めるため、設計士の比較検討をすることも必要になります。その場合も、施工業者の時と同様に複数の設計士に基本設計・工事費の見積と設計費用の見積もりを提示させ、検討することをお勧めします。

工事費の他に、設計費が増えることになりますが、社寺建築設計に特化したプロである設計士に設計を依頼して、基本設計をしておけば、各業者の見積を公平に判断することができます。複数の業者から出てきた見積金額の内容を的確に判断し、良い業者を選定できることは大きなメリットです。

また、設計費のなかには、実際に工事が始まった時に、確認申請をはじめとする法的な手続にかかる費用も含まれていますから、設計費を払っても、それだけの価値のあると思います。

設計士に依頼するときの注意点

設計士を選ぶ場合は、業者選びと同じように、施主様の立場に立って話を聴き、納得いく説明をしてくれるかどうかを見分けることが必要です。

設計士が決まり、設計プランが決まれば、施工業者を選ぶことになりますが、その際に注意して頂きたいのは、設計士が特定の施工業者を無理に押し付けるような場合です。最近では、あまり聞かいことではありますが、もしそのような場合には少し警戒したほうがよいと思います。その設計士と施工業者の関係性に問題がないかどうかは、注意深く見つめたほうがよいでしょう。

この場合も、設計士・施工業者、それぞれについて、実際に施工した神社仏閣の施主様に話を聴いてみることも有効です。

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