創業50年神社仏閣設計施工 織戸社寺工務所日本の美と匠の技を未来に傳える

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建築業者の見積金額をどう見るか

神社やお寺を建て替えるときには、いくつかの建築業者から相見積もりを取るべきだということを、コラム「複数の業者に見積依頼をする場合のポイント」で述べました。ここで、「提出された見積金額をどのように判断するか」というのも、業者選びにおいて難しい問題であると思います。

なお、設計士が入っていれば、業者選びの判断に協力してくれます。

見積金額だけで業者を判断しない

宮大工の目線で言えば、施主様が神社やお寺を建て替えようと考えたときの、最初の「動機」に集中すれば、安くても社寺建築として満足のゆくものを建てることができます。また、金額が高くても、見た目のバランスがあまり良くない建物もあります。ですから、単に金額が高いか安いかだけで、安易に建築業者を選択しないでいただきたいと思います。

失敗するケースで一番多いのは、「安い」見積に飛びついてしまうことですから、くれぐれもご注意ください。

もちろん、不当に高いのは論外ですが、安すぎるのも考え物です。

社寺建築には大きな部材を使用し、専門的な細工が施されるため、一般住宅工事と比べると、材料も人件費も高額になります。ですから、金額を安くするためには、必ずどこかを犠牲にしているはずです。

良い建築業者を選ぶためのポイント

建築業者から提示された見積金額の意味をしっかり説明して、施主様が完全に納得できたならば、その建築業者を選んでいただても結構だと思います。しかし、施主様の立場で見積金額の詳細な意味合いまで理解するのは、なかなか困難なことではないかと思います。

そこで、設計士に相談することも考えられますが、その前に、もし地元や知人で設計士や建築業者の方がいたら、その方に見てもらうのもよいと思います。たとえ社寺建築専門でなくても結構です。社寺に詳しくなくても、建築工事としては理解できるはずなので、不明な点をプロの立場で見てもらう事は、有効な手段の一つだと思います。

また、説明をしてくれる担当者の表情をしっかりと見ることも、とても大切です。人の表情について明確な基準はありませんが、「目は口ほどに物を言う」のたとえどおり、建設委員の複数の方々が注意深く見る事で、その業者が誠実な内容を話しているかどうか、必ず感じるものがあると思います。

予算がなくても「見た目」をあきらめない

施主様によっては「予算は、すべてひっくるめて○○円。これしかないよ」というような金銭的な事情もあると思います。

しかし、社寺建築においては「これ以上の金額は無理だ」と断定することなく、「こういうものを建てたい」という理想の建物を追求する考え方が非常に大切なのだ、ということを是非、忘れないでいただきたいのです。

社寺建築というものは、ある意味では絵画のような「美術品」に近いものだと思います。もっとわかりやすく言えば、「見た目が勝負」と言うことです。神社やお寺は「見るからにカッコいい建物であるべきだ」と思うのです。だからこそ、神仏が宿る場所であり、通りがかった人が思わず手を合わせてしまう建物として存在意義があると思います。

それは、単に工事費が高い安いというだけではない部分であり、社寺建築にとっては、なくてはならない重要な要素です。だからこそ、ちょっと上手な住宅大工ではなく、その道のプロである宮大工が施工するべきなのです。

もちろん、予算の上限もあり、施主様からは、「簡単に言ってくれるなよ」という声もよく聞きます。それでも、あえて言わせていただけるならば、「見た目が勝負」という言葉を念頭に置いて工事計画を進めていただきたいのです。

ただし、社寺建築ですので、中身も絶対におろそかにはできません。映画撮影のセットのように「外見はイイが、中身がない」では困ります。

「社寺建築の根本の考え方としては、尊さを表現する『見た目』が勝負なのだ」ということをしっかり押えておかないと、工事計画の途中で方向性を見失い、最悪の場合は「こんなはずではなかった」と後悔を抱えた竣工式を迎えることになってしまいます。

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